第29章 黒尾end
侑君が挑発的な視線をクロに向けた。
黒尾「ハハッ、そーですね。
全然余裕なんてないですよ、ともみの事に関しては。
長年大事にしてきたもの、盗られたくないんでね?」
クロの鋭い視線が侑君に向く。
そして口の端を持ち上げニヤッと笑うと、私の手を引き自分の方へと引き寄せた。
「く、クロッ⁇」
思わず赤くなる私をクロは優しい目で見つめる。
黒尾「"何でもスマートにこなすクロ"じゃなくて悪りーな?
俺だって欲しいもんの為には必死になんだよ。」
クロ…。
すると目の前の侑君は盛大にため息を吐いた。
侑「ハイハイハイ‼︎その続きは2人になってからや!タクシー待たせとんのちゃうん⁇」
侑君が苛立ったように頭を掻きながら声を上げた。
黒尾「だな。じゃあ続きは2人っきりになってからゆっくり、」
顔を寄せ、私の肩を抱くクロに、
侑「アホか!冗談で言うただけや‼︎」
咄嗟にタメ語で突っ込んだ侑君は「あ、、」
と手で口を抑えた。
黒尾「今日はプライベートなんで気になさらず(笑)
宮選手、また近いうち代表の活動の件で挨拶に伺いますので。」
クロはニッコリと笑顔を貼り付けると侑君に会釈をし、「先に行ってるから。」とキャリーケースを持って先にタクシーへと戻って行った。