第29章 黒尾end
「え…、、?」
声のした方に視線を向けた私は、驚きに目を見開いた。
ここに居るはずのない人物…。
通りに停まった一台のタクシーから降りて来たのは、特徴のある髪形に長い足、そして切長の目が私を捉えた。
「クロ⁇」
私の隣では夕子ちゃんがチョンチョンと脇腹を突いて興奮気味に声を上げた。
佐々木「ちょっと!あのイケメン誰⁈知り合い⁇」
治「・・ツム、あの男って、、」
侑「お、おん…。バレーボール協会の黒尾鉄朗やな。」
クロは長い足でガードレールを跨ぐと、真っ直ぐに私の元へ駆け寄ってきた。
黒尾「はぁ〜〜、ギリギリセーフ!間に合った!」
「ク、クロ、、⁈何でここに⁈」
状況が理解出来ず、あたふたする私の頭にクロの手がポンと乗せられた。
黒尾「マテ、出来なくてね。来ちゃった♡」
「・・来ちゃった、って…。」
そんな軽いノリで言うけど、ここ、兵庫だよ…?