第29章 黒尾end
あやかさんと蓮さんに別れを告げ会場を後にした。
外はすでに日が傾いていて、街は夕焼け色に染まっていた。
治「車、近くのパーキングに停めてあるさかい、ともみちゃんと夕子ちゃんも駅まで送るで?」
佐々木「ホンマ⁈めっちゃ助かる〜!てか治君お酒飲んでないん?」
治「夜は店開けるつもりやったからノンアルで我慢しとったんよ。」
侑「サムは真面目やな〜!てかせっかくやし皆んなでサムんとこ行って飲み直さへん⁇」
佐々木「おっ!ええやーん!ともみちゃんも行ける⁈」
皆んなの視線が私に集まる。
「・・私はさすがに帰らないと。」
苦笑いを浮かべながら答えると、侑君と夕子ちゃんは「えーー‼︎」と声を上げた。
治「そんな無理に引き留めたらあかんて。ともみちゃん東京帰らなあかんのやし。」
治君の一言に侑君はぷーと口を尖らせた。
「治君、ありがとう。私はここからタクシー拾うから大丈夫だよ。2人乗せて行ってあげて?」
ちょうど通りに出たからすぐにタクシーは捕まりそうだ。
治「いやいや、遠慮せんと駅まで乗って行き?」
侑「せや、遠慮はいらんて。ほら、その大荷物持ったる。」
そう言って、侑君が私のキャリーケースに手を伸ばしかけた時、
「ともみっ‼︎」
聞き覚えのある声が聞こえた。