第29章 黒尾end
「侑君…久しぶり。」
侑「おん。5年ぶり、やな。」
ゲストが増えて来て、あまりに2人が目立ち過ぎて視線が落ち着かない為、私達はテラス席に移動する事にした。
治君は積もる話しがあるだろうと、私達に気を利かせてくれたのか、飲み物を取りに行くと言ってどこかに行ってしまった。
2人きりになり、沈黙が流れる…。
そんな空気の中、侑君が口を開いた。
侑「元気、、そうやな?」
「うん、元気。・・侑君の活躍はずっと観てたよ。」
トレードマークの金髪はそのままに、緩くパーマがかかっていて大人っぽくなった侑君。
侑「ともみちゃんは栄養士になったんやな。しかも翔陽君の専属栄養士とかホンマ驚いたわ(笑)」
「うん、自分でも驚いてる(笑)色々縁が繋がって専属でさせてもらえる事になったの。」
侑「そーかぁ、、なんかともみちゃん、顔つき変わったな!
大人っぽくなったのもあんねんけど、なんか芯が出来たっちゅーか、、うん。もう人形ちゃうねんな。」
私を見る侑君の目が優しく細められた。
懐かしいその目にキュッと胸が締め付けられる。
私の初恋の人。
沢山の思い出を貰った。
侑君が背中を押してくれたお陰で今、こうして私は立っている。