第26章 恋着
ガラガラと戸を開けると、店の奥からサムが顔だけ覗かせた。
治「まだ開店前やぞ?仕込みで忙しいっちゅーねん。」
侑「腹減ったんやもん。茶漬けでエエから食わして?」
治「茶漬けでエエって何様やねん。てか彼女家におるんやろ?飯ぐらい作ってもらったらええやん。」
カウンターに頬杖をつきサムを睨みつける。
侑「サム、あかんで?彼女おったら料理してくれるっちゅー考えは古いねんて。
今は時代が変わったんや…」
遠くを見る俺にサムは冷たい目を向ける。
治「ほー、時代が変わったんやったらツムも少しは料理せなあかんな?仕込み、手伝うか?」
侑「・・いや、俺はええねん。時代の流れに逆らって生きてくわ。」
治「・・結局どっちやねん。」