第20章 2人の日常
無言を肯定と見なしたのか、侑君はガシガシと頭を掻くと、私の前にしゃがみ込んだ。
侑「おぶさるまで動かんとこうしとるから。大人しく背中、乗り?」
最早嫉妬なのか対抗意識なのか、、、
こうなると絶対後には引かないだろう。
でもこんな不器用な優しさも愛おしいと思えてしまうのだから私も重症だ。
私は眉を下げて笑い、素直に甘える事にした。
「ありがとう…じゃあお願いします。」
珍しく素直な返事に侑君は少し驚いたようだったけど、私が背中に乗るといつもの屈託のない笑顔を見せた。
侑「いつもの意地っ張りなともみちゃんもエエけど、素直なともみちゃんはめっちゃ可愛えな!」
「なっ、私そんな意地っぱりじゃないし!」
おんぶされた状態でポカッと侑君の肩を叩いた。
侑「コラ、暴れたら危ないでー?・・ん?てか、、、」
「・・え?」
急に黙り込んだ侑君を不思議に思い、肩越しに顔を覗き込むと何やら口元がニヤついている。
侑「・・・背中におっぱい、当たっとるな〜って。
北さんもそう思ってたんやろか、、って痛っ‼︎」
ポカッと今度は頭を叩いた。
「北さんがそんな事思うワケないでしょ⁈」
ポカッ
侑「痛っ!・・なんや短時間で随分北さんと仲良うなってたみたいやなぁ。
さっきやって、"気をつけて帰り"ってともみちゃんに微笑んでたしびっくりしたわ。」
口を尖らせて話す侑君が少し可愛いくて少し意地悪したくなった。
「・・・もしかして嫉妬してる?」
侑「っ‼︎・・別に?」
侑君の耳が赤くなり、思わず口元が緩んでしまう。