第20章 2人の日常
ーーー
「北さん、本当にありがとうございました。
助かりました。」
玄関先で見送る北さんに深くお辞儀をする。
北「気にせんでエエよ。気をつけて帰り。」
侑「ほな、北さん失礼します。」
侑君もお辞儀をし、北さんに挨拶すると、
北「侑、原さんの事あんま困らせたらあかんで。
大事にしてあげや?」
北さんがそんな事を言ってくれたのには驚いた…。
隣に居た侑君は少し焦っていたけど、ハッキリと大事にしますと約束し、私達は北さんの家を後にした。
数メートル歩いた所で、侑君が私の手を取り指を絡めてきた。
侑「・・ごめんやで。」
「フフッ、何回め?もういいよ。私も勝手に出て来ちゃったのも悪いんだし。ね?」
何度目か分からない謝罪を口にする侑君に私は笑みを浮かべた。
「次、家出する時は携帯と財布は持って行くようにする。」
侑「・・ホンマもうやめて。北さんにそんなんバレたら次は殺されるわ。」
ブルブルと身震いする侑君に、思わず笑ってしまう。
「北さん、凄い優しかったけどなぁ…。
そもそも私が道端でしゃがみ込んでる時だって他の人達は見て見ぬしてたのに、北さんだけは声掛けてくれたし。
北さんが居なかったら今頃どうなってたか…。」
侑「・・そういうトコ、北さんらしいな。てか足、痛むやろ?おんぶするで?」
侑君は先程から私のペースに合わせてゆっくりと歩いてくれていたが、心配そうな顔で私の足元に視線を落とした。
「え?侑君までいいよ〜。ゆっくりだけど歩ける、」
侑「え?ちょっ、ちょい待ち?」
侑君が急に足を止めた。
侑「"侑君まで"って事はもしかして北さんにおぶってもろうたん?」
「・・・。」