第20章 2人の日常
一方
侑「ハァハァ、、ともみちゃん携帯も持たんとどこ行ったんや…」
町内を走り回り汗だくの2人。
切れた口元に滴る汗が沁みる。
治「ダメや、佐々木さん今は出掛けてるから家に居らんて。」
携帯を切った治が侑に駆け寄った。
ハァ〜〜と空を仰ぐ侑。
侑「これでともみちゃんに何かあったらどないしよ…」
治「・・縁起でもない事言うなや。他にともみちゃんが行きそうなトコないんか?」
侑「行きそうなスーパーは全部探したけど見当たらんかったし…」
治「・・スーパーばっかやな。」
侑「ハァ…。そう考えると、ともみちゃんの行動範囲ってホンマ狭いな。
女子高生やのに毎日学校と下宿の行き帰りだけで、俺らの世話ばっかして…。」
治「・・ほんまともみちゃんには頭上がらんな。」
侑はしゃがみ込み、がっくりと項垂れた。
侑「俺は何をしとるんや…。大事にしたいと思っとるのに、、何で思うようにいかんのやろ…。」
珍しく落ち込んでいる双子の片割れを、治は困ったように見下ろした。
治「・・座り込んでたってともみちゃんは見つからんで。
もしかしたら下宿に戻ってるかもしれんから俺は一旦戻るな。」
侑「・・おん。俺はもうちょい探してみるわ。」
治と別れ、侑は立ち上がると自分の顔をパンッと平手で叩き、気合いを入れた。
侑「よしっ‼︎」
走り出そうとした時、携帯が鳴り、侑は慌ててポケットから取り出し画面を確認した。
侑「・・・北さんかいっ!」
出るか気づかないフリをするか一瞬迷うが、後々折り返す方が面倒だと思い、通話をタップし、姿勢を正す。
侑「お疲れ様です、侑です。」
そして思いもよらずともみの名前を聞く事になった。