第20章 2人の日常
「もうやめてって!」
仲裁の声は届かない。
2人の口元は血が滲み、頬は赤く腫れあがっている。
それでも尚、お互いの胸ぐらや髪の毛をを掴んで取っ組み合う2人を前に、私は震える拳をギュッと握りしめた。
「2人共、いい加減にしてっ‼︎‼︎」
私の叫ぶような声に、2人はようやく手を止めた。
「こんな、、こんなくだらない喧嘩して殴り合って傷付けて…!
もう一緒に居たくないよっ!」
そう言い残し、私はリビングを出るとそのまま外に飛び出した。
ーーー
キコキコ…
夕暮れ時の公園。
私は寂しい音を立ててブランコに揺られている
ハァ、、
大きなため息を吐き項垂れた。
「・・せめて携帯持ってくれば良かった。」
何も考えず飛び出して来た為、携帯も財布もない。
喉も渇いたし、お腹も空いた。
「侑君と治君、今頃どうしてるだろう…?」
2人の事がふと頭をよぎり、私は咄嗟に首を振る。
「ダメダメ!少しは反省してもらわないと!」
事情を話して夕子ちゃんの家に泊めてもらおうかな…。
ここから30分は歩くけど、、このまま公園で夜を迎えるのはさすがにまずいし。
そうと決まると、私はブランコから立ち上がり隣町の夕子ちゃんちを目指す事にした。