第19章 花火大会
侑「えっ⁈えーっ⁇なになに?何で泣いてるん⁇」
「ごめっ、、何でもないの。・・迷子の子は迎えが来たから大丈夫…。何か情緒不安定で…」
侑君は困ったように眉を下げた。
侑「これじゃともみちゃんが迷子の子供みたいやん…」
行き交う人たちからの視線から庇うように、
侑君は私をそっと胸に引き寄せると、人気の少ない所まで連れて行ってくれた。
侑「どや?少しは落ち着いた?」
川沿いのフェンスに寄りかかり侑君が顔を覗き込む。
「うん。大丈夫…、ありがとう。」
私もフェンスに寄りかかり、侑君の隣に肩を並べる。
侑「・・何かあったん?」
「・・ううん、何もないんだけど…。
さっき迷子になってた女の子がね、私と似てた、っていうか…少し感情移入しちゃって。」
侑君は黙って私の話を聞いている。
「その女の子、両親いないんだって…
あんなに人の多い所で誰にも気づいてもらえず一人で泣いてて。
楽しそうに笑う家族連れとすれ違って、どんな気持ちだったろう、とかどんなに寂しいだろうとか考えてたら、、もう私の方が泣けてきて…」
思い出すと、また泣けてくる。
鼻を啜り、上を向く。
「けどね、お姉ちゃんが迎えに来てくれて、お互いぎゅって抱き合う姿みたら何か感動しちゃった。
すごい安心したっていうか…兄弟がいてくれて良かったって思ったの。・・1人はやっぱり寂しいから。
そんな事考えてた時に侑君が走って来てくれたから嬉しくてつい…。」