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ハイキュー  夢を追うあなたと。

第19章 花火大会



「ももちゃん、これ見て?」

私はなるべく明るい声で言うと、頭の後ろに付けていたお面を指差した。

ももちゃんはお面に気付くとパッと目を見開いた。

もも「キツネ⁇」

私はニコッと笑い頷くと頭からお面を外し、ももちゃんの頭に付けてあげた。


「ももちゃんにあげる。白いキツネってね、幸せを運んでくれるんだって。」

ももちゃんは目をキラキラさせて嬉しそうに頬を赤らめた。

もも「・・いいの?」

「うん。きっとキツネがももちゃんに幸せを運んでくれるよ!」

もも「わぁ、、ありがとう…。」

ももちゃんは両手でお面を触ると嬉しそうに顔を綻ばせた。


私がこの土地に来て、沢山の素敵な出会いがあったように、きっとこの子にも幸せな未来が訪れますように…。


その時、案内所の方から1人の女の子が走って来た。

「ももーー‼︎」

その声にももちゃんがピクッと反応し、声の方へ視線を向けた。

もも「おねーちゃん‼︎」

繋いでいた手が離れ、ももちゃんが駆け出した。


お姉ちゃんらしき女の子がももちゃんを抱きとめる。

良かった、、
その光景を見ただけで目頭が熱くなった。

そんな私に気づいたのか、お姉ちゃんがペコッと頭を下げた。


「あの、この子を連れて来てくださってありがとうございました!」

まだ10歳かそこいらだろうその子はしっかりとした口調で私に頭を下げる。

「いえ、すぐに見つかって良かったです。」

もも「おねーさんがね、このキツネのお面くれたんだよ!
このキツネ、幸せ運んでくれるんだって!」

嬉しそうに笑うももちゃんとは反対に、お姉ちゃんの方は少し困ったような顔つきになる。


「あの、、気にしないでね!私がももちゃんに貰って欲しかっただけだから。
ももちゃんの笑った顔が見れて本当に良かった。」

私は笑ってももちゃんの頭を撫でた。

「本当に色々とありがとうございました。
ホラ、もも?ちゃんとお礼して。」

もも「おねーさん、ありがとう。」

「いーえ、どういたしまして。」



バイバーイと手を振り、走り去る姉妹の背中を見送った。
そんな2人の背中をぼんやりと見ながら余韻に浸る。

やっぱり兄弟っていいな。
ももちゃんが少し羨ましく思った。





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