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ハイキュー  夢を追うあなたと。

第19章 花火大会



灯りが届かない道の端で小さい女の子が1人、肩を振るわせて泣いている。

迷子、かな…
 
もうすぐ花火が上がる時間とあって、行き交う人達はその子に見向きもしていない。


佐々木「ともみちゃん?急に立ち止まってどないしたん?」

「あ、ごめん。・・あの子、迷子かなって。」

私は道の端を指差した。

佐々木「あぁ、、ほんまや。行ってみよか?」


私は頷き、泣いている子の側へ駆け寄り、声を掛けてみた。

「大丈夫?迷子になっちゃったの?」

女の子はヒクヒクと嗚咽を漏らし、黙って頷いた。
5〜6歳ぐらいだろうか…。

佐々木「お母さんとお父さんと来たの?」

女の子は首を振るだけで、何も答えてくれない。
夕子ちゃんは困ったように眉を下げた。


「・・・。」

何だかまるで小さい頃の自分を見ているようで、胸が苦しくなる、、

「大丈夫だよ。」

私はそう言って、手に持っていたお好み焼きの袋を夕子ちゃんに押しつけた。

佐々木「え?なに⁈」

「私、この子連れて迷子案内所に行ってくる!夕子ちゃんは先にそれ持って戻って?」

佐々木「ほな私も一緒に行くって」

私は首を振った。

「花火始まる前に行かないと迷子の放送してもらえないから。
この子と2人で行くよ、その方が動きやすいし。」

私は女の子の小さい手をギュッと握りしめた。

佐々木「でも、、ほんとに大丈夫?」

「大丈夫だよ。もしかしたら行く途中でツレの人、見つかるかもだし。ね?」

女の子を安心させるように笑って話しかける。
すると女の子はヒクヒクと嗚咽を漏らしながらも顔を上げ、小さく頷いてくれた。

それが何だか無性に嬉しくて自然と頬が緩んだ。






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