第19章 花火大会
辺りが徐々に暗くなってきて、河川敷の広場にはシートを広げ花火を楽しみに待つ人達で溢れていた。
男の子達が飲み物を買いに行ってくれている間、私達はシートに座りそれぞれ買って来たものを並べた。
佐々木「ともみちゃん、その頭の後ろに付けてるお面、どうしたん?」
夕子ちゃんが不思議そうな顔で私の頭の上を指差した。
「フフッ、狐のお面、可愛いでしょ?治君と倫太郎君とお揃いで買ったんだ!白いキツネは幸せを運んでくれるってお店の人が言ってたよ。」
佐々木「・・へ、へぇ、初めて聞いたわ」
苦笑いを浮かべる夕子ちゃんの目の前には沢山の食べ物が並んでいる。
あやか「・・てか夕子ちゃん。そんなに食べるん?帯、キツなるで…?」
佐々木「えー?これでも足りないかなーって思ってたんだけど。
フランクフルトに焼きそば、イカ焼きにじゃがバター。あーやっぱお好み焼きも買ってくれば良かったー。」
「買いに行くなら一緒に行こうか?」
佐々木「ホンマ?じゃあついでにクレープも買おう⁇」
「フフッいいね、クレープ食べたいかも。あやかさんは?」
あやか「私はやめとくわ。てかあと少しで花火始まるし、ここ見とくから行ってきてええよ?」
佐々木「ほな荷物番お願いします!ともみちゃん行こ!」
「うん!」
あやか「迷子にならんでな〜」
はーい、と私達はあやかさんに手を振り、急いで出店の通りに戻った。
陽が落ちて空が暗くなり始めると、提灯の灯りがより色鮮やかに映っている。
その中、私と夕子ちゃんは最初こそ浮足だっていたが、夜店の通りはあまりの人の多さにすれ違うのもままなら無い状態になっていた。
お互いはぐれないようにと必死で手を繋ぎ、何とかお好み焼きだけは買えたがすでに戻るのもままならない状態だった。
佐々木「あかん。もうこれ以上は無理や…戻れんくなる。」
「そうだね…。花火始まる前に戻らないと。」
クレープは諦め、皆んなのところへ戻ろうとした時、ふと視界の隅で泣いている子供が目に入った。