第19章 花火大会
侑「・・あかん。鼻血出そうや。」
倫太郎「・・浴衣…すげー破壊力だな。」
遠目で浴衣姿のともみを見つけた侑と倫太郎が呟いた。
ポッと頬を染める2人の隣で治は鼻を鳴らしている。
治「なんなエエ匂いしてきたな〜!何やろ、焼きもろこし…?イカ焼き?」
侑「・・サムは食いもんの事しか頭ないんか?あんな色っぽい浴衣姿見て何とも、、」
侑が最後まで言うより早く、治は浴衣姿の女子3人を視界に捉えると小走りで駆け寄って行ってしまった。
侑「あっ!待てサム!抜け駆けすんなっ!」
倫太郎「今んとこともみは誰のものでもないからな。」
倫太郎は意地悪い笑みを浮かべ、治の後に続いた。
侑「お前ら昨日の話、ちゃんと覚えてんやろなー!
少しは協力する気ないんか⁈」
2人の背中に向かって叫ぶも、すでに周りの賑わう声にかき消されるのだった。
治「3人とも、浴衣めっちゃ可愛いやん!」
最初に現れた治君は爽やかな笑顔で浴衣を褒めてくれた。
あやか「フフッ、せやろー?」
「・・ありがとう。」
佐々木「////」
治君に続いて倫太郎君と、侑君が到着するとあやかさんがニヤニヤしながら侑君の腕を肘で突いた。
あやか「鼻の下伸びてるで?」
侑「・・へ?鼻血出とる⁇」
侑君が焦ったように手の甲で鼻の下を擦るのを見て、あやかさんと夕子ちゃんは「出てへんって〜」と言いながら笑っている。
そんなやり取りを見ていると、チョンと肩を叩かれた。
ふと隣を見上げると、治君が耳打ちしてきた。
治「ともみちゃん、めっちゃ綺麗やで。」
治君の優しい声が耳をくすぐった。
「あ、ありがとう…。」
恥ずかしくて下を向くと、倫太郎君が私の手を取って歩き出した。
倫太郎「行こ。」
「え?あ、うん。」
治「待って、俺も行く〜。」
倫太郎君と治君にそれぞれ手を引かれ、一足先に公園を出た。
後ろが気になり振り返ると、侑君があやかさんに腕を絡められてギャーギャー騒いでいる。
相変わらずだな、と口元を緩める私の横で、倫太郎君が深いため息を吐いた。