第3章 下宿生活。
「優しくなんかないですよ。
私はコミュニケーションが上手くとれませんし、皆さんに不快な思い、沢山させていると思います。
・・・ただここに来てすぐの頃、かよこさんに一度怒られた事があって。」
倫太郎「かよこさんに?」
ともみは俯きながら頷く。
「ここでも"空気"になろうとするなって。
母とそっくりな顔で怒られたんです。
母には怒られた記憶なんて一度もないのに、、、複雑ですよね。
だから私なりに少しずつですが皆さんの事知っていきたいと思っているんです…。」
ともみなりにコミュニケーションを取ろうと努力してるんだな…。
倫太郎「俺はまだここに来たばっかだけどさ、ともみの事みんな大事に想ってるの見てればわかるし、すでにかよこさんの言う"家族の一員"になれてるんじゃないの?」
「・・・ですかね。」
倫太郎「・・・俺もさ、コミュニケーション得意な方じゃないけど、たまにこうやって2人で話しても良い?」
視線が交わると彼女は静かに頷いた。
心無しかともみの表情が一瞬、柔らかくなったような気がするのはただの思い込みかもしれないが…。
その夜、ともみの深い部分を知れた気がして少しの優越感と
彼女の事を大事にしたい、想う気持ちが沸々と湧いて来た。