第17章 揺らぐ。
柱の影に落ちていた鍵を拾い上げてみると、見覚えのあるお守りが付いていた。
侑「・・・これ、まだ持ってたんやな。」
"必勝"と書かれたお守り。
ピンク色が所々薄汚れていて経年を感じさせる。
見られたのが恥ずかしかったのか、華は気まづそうな顔をして手を出した。
華「・・お守りの効果はさておき、唯一、侑先輩とお揃いの宝物なので…。」
侑「・・俺はお守りの効果、あったで?」
確か3年前、お互いバレーの試合を控えていた時、有名なスポーツ神社でお揃いで買ったんやったっけ。
手のひらにお守りをそっと返すと、華は大事そうにそれを握りしめ自嘲気味な笑みを溢した。
華「スイマセン、未練たらしいですよね…。」
侑「別に。てか華はモテるし、俺みたいなヤツより良いヤツおるやろ?」
華「・・・。」
下を向き黙ってしまった華の頭にポンと手を乗せた。
侑「俺、華と別れてから誰とも真面目に付き合ってこなかったんや。」
華「え…?」