第17章 揺らぐ。
息を切らしながらようやく部室の前に着くと、北さんとアラン君がちょうど中から出て来た所だった。
アラン「侑?何やそんな慌てて。」
侑「ハァ〜間に合うた!すんません!ロッカーん中に携帯忘れてもうて。」
北「また忘れもんか。普段から帰る前にちゃんと確認するクセ見に付けるようにせなあかんで。」
侑「ハイ、、気をつけます〜。」
ペコッと頭を下げながら部室に入り、ロッカーを開ける。
侑「あったー!」
携帯を取り出しポケットに突っ込むと、ドアの外にいる2人の元へ急いだ。
また何か小言を言われる前に挨拶をして帰ろうとした時、
北「侑、傘持ってるんか?」
侑「・・え?持ってないっす。」
すると北さんは傘立てに置きっぱなしになっていたビニール傘を抜くと俺に差し出した。
北「雨、降るで。念の為持っていき?」
侑「え?あー、、あざっす。」
そう言えば朝出て行く時、ともみちゃんが夜は雨だから折り畳み傘を持ってけって言うとったな…
すっかり忘れとった。
北「体調管理も実力のうちやで。」
北さんのまっ直ぐな視線にドギマギしていると、アラン君が助け舟を出してくれた。
アラン「まぁ、そう言う事やから早よ帰り?
俺らは鍵返してくるさかい。」
アラン君ナイス‼︎
心の中でサインを送る。
侑「傘、ありがとうございます!じゃあお疲れしたー‼︎」
傘を掲げ、2人に頭を下げると走ってその場を後にした。