第11章 けじめ。
道路の反対側から走って来てくれた侑君は、鼻の頭が赤くなっていた。
侑「ともみちゃん!ビックリするわ〜。こんなとこで何してるん⁈」
私はスーパーの袋を持ち上げた。
「近所のスーパーがやってなかったからこっちの方まで来たの。・・侑君は?」
侑君は不貞腐れた顔をしながらダウンジャケットのポケットから何やら取り出した。
「・・年賀状?」
侑「オカンのお遣いや。サムとジャンケンして負けた。」
2人共相変わらずなんだな、って思ったら自然と笑みが溢れた。
侑「てかこんな遠くまで1人で来たんか?・・角名は?」
「倫太郎君は実家に帰ってるから、今は私とかよこさんの2人だけ。」
そう言うと侑君は何か考え込む。
侑「・・もう帰るとこなんやろ?そろそろ日も暮れるし、送ってくわ。」
「えっ?大丈夫。雪降り始めたし、風邪引いちゃう。」
侑「大丈夫ちゃう。そんな鼻の頭赤くして、ホラ早よ行くで?」
すでに私に背を向け前を歩き始めた侑君。
ぶっきらぼうだけど、優しいな…。
私は小走りで侑君の隣に並び顔を覗き込む。
「・・侑君も鼻、赤いよ?・・それに鼻水出てる(笑)」
侑「うそやん⁈」
侑君は鼻をすすり、隣で笑う私を横目で見てきた。
侑「・・なんかこうしてともみちゃんと話すの、久しぶりやんな。」