第3章 下宿生活。
思わず眉がピクリと動いた。
いや、全然タイプじゃないし。
クラスが同じでも一度も喋らずに1年を終える自信がある。いやきっと卒業まで喋らないタイプだし。
倫太郎「家庭的で可愛い子がタイプっす。」
無難に交わした。・・・つもりだった。
かよこ「え?それって何かともみの事言ってるみたいね。」
あやか「ほんまや〜!何や意外と積極的やんな!」
倫太郎「え。」
思わず眉を顰める。
速攻否定したかったけど、本人目の前にいるしさすがに気まずい。
てかかよこさんもあやかさんも目と耳、大丈夫?
当の本人はずっと表情筋死んでるけど大丈夫?
テーブルを挟んで向かいに座る女性陣は、その後もともみをネタに盛り上がっている為俺は聞こえないフリをした。
隣に座ってる蓮さんは飯に夢中なのか全然会話に入ってこないし。
とりあえず飯だけ食って部屋に戻ろうと思い、取り分けてくれた皿に箸を伸ばした。
倫太郎「・・・んま。」
思わず呟く。
かよこさん、料理上手なんだな。
隣でもぐもぐと口を動かしている蓮さんが小声で、
蓮「飯、美味いやろ?これ全部ともみちゃんが作ったんやで。」
倫太郎「・・・マジっすか。」
目の前には赤飯や筑前煮、お浸し、唐揚げ、エビフライ、ポテトサラダにマリネなどが見事に並んでいる。
俺と同い年だろ?すげーな…。
なるほど、、だからさっきの"家庭的な子"にかよこさんとあやかさんは反応したのか。
面倒臭。
思わずため息を吐く。
でも、この時はまさか自分がともみに惚れ込むなんて想像すらしていなかったんだ。