第9章 文化祭
「原さんて、宮治君と付き合うてるん⁈」
「え?付き合ってないですよ?」
首を横に振る私に、佐々木さんは眼鏡をずり上げ興奮気味に食いついてきた。
「そうなん⁇ほなさっきのイチャイチャは何⁇あの宮ツインズの宮治やで⁇」
「・・・やっぱり有名人なんですね、宮兄弟。」
私は作業途中の看板に視線を落とし再びハケを握る。
「・・・?何かあったん?」
私は顔を上げ笑顔を作る。
「・・何も無いですよ。」
「・・・そっか。私は彼氏いない暦16年やけど、恋バナならいくらでも付き合うで?」
「・・私も彼氏いない暦16年です。」
「マジか。」
私達は再び顔を見合わせて笑った。
それからは佐々木さんの恋バナを聞きながら作業は楽しく進み、気づくと時計は18時を回っていた。