第9章 文化祭
教室の入り口に治君が立っていた。
私は立ち上がり、治君に近づく。
「治君はこれから部活?」
治「せやねん。掃除の居残りさせられて遅れてもうた。
ともみちゃん実行委員やったん?」
治君が床に置いてある看板を指で差す。
「ううん、今日は手伝いで。」
治「手伝い?いつも真っ先に帰るともみちゃんが珍しいな、、てか髪にペンキ付いてるで?」
え?と髪を触ろうとするが、指にもペンキが付いていて触れない。
治君の手がスッと伸びてきて思わず目を瞑ると、
治「・・・そんな顔されたらキスしたなるやん」
「⁈そ、そんなつもりじゃ!」
治「ハハッ、嘘。ほら、ペンキ取れたで?」
ほら、と見せられた指の先には白のペンキが付いていた。
「ありがとう、、指に付いちゃったね、今ハンカチ、、、」
ポケットからハンカチを出そうにも手が汚れていて出せない…
治「ええよ、こんなん。てか作業まだかかりそうやんな?帰り心配やし一緒に帰ろ?」
「え?大丈夫、」
治「大丈夫やない。とりあえずこっち終わったら体育館来てな?ほな行くわ!」
治君は手を振り走って行ってしまった。
心配性だなぁ、と思いながら作業に戻ろうと振り向くと、佐々木さんが目をキラキラさせこちらを見ていた。