第9章 文化祭
10月も半ばになり、学校では各クラス文化祭の準備が進められていて、うちのクラスはクレープの模擬店に決まった。
「原さん、今日は手伝いありがとう。めっちゃ助かるわ。」
「いえ、全然大丈夫です。私は部活入ってないので。」
放課後の教室で私は今、文化祭の実行委員の佐々木さんと一緒にお店の看板作りをしている。
ショートカットに黒縁メガネが特徴の佐々木さんは真面目でしっかり者だ。
実行委員は3人いるけど、あとの2人は部活が忙しいらしく放課後は時間が取れない為、唯一帰宅部の私に白羽の矢が立った。
佐々木さんが下書きしてくれた上から私はペンキで色を塗っていく。
こういう作業はわりと好きで黙々とハケを動かす。
「原さん、夏休み明けてから雰囲気変わったやん?前は地味、、、ってゆうか暗いイメージやったのに。」
私は顔を上げ苦笑いを浮かべる。
「あー、そうですね…」
「でも実際喋ってみると原さんて物腰柔らかいし、良い人やんな?なんか今まで仲良うせんかったのがもったいなかったわ。」
ニコッと笑う佐々木さんの言葉が嬉しくて思わず顔が綻ぶ。
「私の方こそ、もっと早くにコミュニケーションを取れば良かったって思ってます。」
「えーホンマ?じゃあ今更やけど、これから仲良くしよ?」
「・・そう言ってもらえて嬉しいです。何か、、、今日手伝いに来て良かったです。」
「フフッ私も!思い切って声掛けて良かったわ!これでも結構緊張したんやで?」
2人で顔を見合わせ笑い合う。
その時、
「あれー⁈ともみちゃんやん、珍しいな!」