第7章 夏の思い出
侑「、、、あん時キツい言い方してもうて…ごめん。」
まさかの侑君の謝罪に私は顔を上げ首をブンブンと横に振った。
「侑君は悪くないです!謝らないで下さい。」
侑「ちゃうねん、俺なんかあん時ムキになってもうて。あんな言い方するつもりは無かったんやけど…。せやからあんま気にせんといてな?」
侑君は私を気遣ってくれたのか、笑顔を見せてくれたけど、
私の心にはモヤモヤが残った。
・・・何でムキになったの?
私があの時、抵抗しなかったせいであやかさんに危ない思いをさせてしまったからついカッとなったの?
そんな事が頭をよぎったが口には出せるはずもなく、私は侑君の言葉にただ頷いた。
「はーい、お待ちどう!何にする?」
気づいたら列は進み、私達が先頭になっていた。
元気の良い売店のおばさんに侑君が全員分のかき氷を注文する。
ガラガラと氷を削る様子を侑君の後ろからぼんやりと見ていると、おばさんと目が合った。
おばさんは人好きの良い笑顔で、
「あんたら美男美女でお似合いのカップルやねぇ。兄ちゃん、こんな美人な彼女連れて歩いて鼻高いやろ〜?」
おばさんはケラケラと笑いながらかき氷にシロップをかけていく。
カップル…?
側から見るとそんな風に見えてるんだ。
思わず赤面する私とは逆に侑君は人懐っこい笑顔を浮かべ、コソコソと小声で何やらおばさんに話し掛けている。
侑「彼女、めっちゃ美人さんやろ?せやけどなっかなか手のかかる姫さんでホンマ危なかっかしいねん。」
「アハハッ!色男は大変やなぁ〜」
おばちゃんと楽しそうに会話をしている侑君。
そのお陰か、出来上がったかき氷にはサービスで練乳がたっぷりかけられていた。