第7章 夏の思い出
時同じくして。
治君と手を繋ぎ浜辺を歩く。
大きくて暖かい手が私の手を包んでくれて、何だか少しほっとする。
砂浜に足を取られながらノロノロ歩く私のペースに、治君は合わせてくれている。
治「・・・ともみちゃん。」
突然治君が足を止めた。
ふと隣に立つ治君を見上げると、顔がほんのり赤くなっている事に気づいた。
「・・治君?」
治「ダメや!ともみちゃんの水着姿、可愛いすぎて目合わせられへん‼
てか︎その背中がガッツリ空いてるのとかほんまヤバいわ。。」
…そうだった。
あんな事があって自分が水着になっている事をすっかり忘れていた。
「す、すいません…何か羽織ってきます…」
とは言え、取りに行きたいけど今戻るのは気まずいし…。
どうしようかと迷っていると、
治「あ、コレ。角名に渡されたシャツ。とりあえずコレ着とってくれる?そんな可愛い姿、他の男に見せたないわ。」
治君は私から視線を逸らしながらシャツを渡してくれた。
「ありがとうございます…お借りします。」
Tシャツを受け取り、その場で袖を通してみるが、、、
さすがに男ものとあってかなり大きい。
裾は太ももの付け根あたりまであるため、何だか下を履いてないように思われないか気になってしまう。
治「・・ソレはソレで何かエロいな…。てか角名のやつ、コレが狙いで自分のTシャツ寄越したんやな…あのムッツリ。」
不貞腐れた様に呟く治君は私の手を取ると、再び歩き出した。