第7章 夏の思い出
侑「いや、あやかちゃん何言うてんの?」
低い声で牽制したつもりがあやかちゃんには全然効いてないようで、真っ直ぐ俺の目を見てくる。
あやか「他の男に触られてるの見て頭きたんやろ?そんなヤツ相手に無防備なともみちゃんにも腹が立った。もっと自分の事、大切にして欲しかったから怒ったんと違う?」
倫太郎「・・・あーあ。言っちゃった。」
目を閉じたままの角名が隣でボソッと呟いた。
あやかちゃんの心を見透かすような目に耐えられず、俺は視線を逸らした。
侑「・・・何か勘違いしてるみたいやけど、そんなんちゃうで。単純に腹立っただけやし。」
フッとあやかちゃんが吹き出した。
あやか「わかったわかった(笑)!今はそーゆう事にしとこ!
でもな、勘違いして欲しくないから言うとくけど、ともみちゃんがあん時、抵抗せんかったんは私を助けたかったからやと思うで?自分が付いてけばこの場が収まると思ったんやないかな。
あの子はそう言う子なんよ。
自分の周りの人が傷つくくらいやったら、自分はどうなっても構わないって思うとる。」
侑「・・・・は?そんなんアカンやろ。」
あやか「あかんな。ほんま危なっかしいから、君たちしっかり守ってあげてや。」
倫太郎「・・うす。」
俺は納得いかず、ムスッと口を尖らせているとあやかちゃんにバシッと背中を叩かれた。
あやか「そんな顔せんと、2人が戻って来たら仲良うするんやで?」
侑「・・なんか俺、あやかちゃんに敵う気せんわ。」
倫太郎「今更じゃん?」
あやか「ほな、私達も気分転換に泳ぎ行こか?私1人じゃまだナンパされてまうかもしれへんし?」
侑「・・・・。」
倫太郎「侑、行ってきて。」
角名はタオルを顔に被せ寝たふりを決め込んだ。