第3章 下宿生活。
ふと倫太郎君がお味噌汁をよそってないのに気づいた。
あぁ、嫌いだったかな…
倫太郎君がこの下宿に来てからまだ2ヶ月。
3月に卒業した人と入れ替わるようにここに越してきた為、彼が1番新入りだ。
叔母のかよこさんと他2名の好き嫌いはほぼ把握してるが、倫太郎君の好みはまだ把握出来てない。
同級生とは言えクラスも違うし、積極的に喋るタイプじゃない倫太郎君は未だにわからない事が多い。
でも食事を作る担当としてはせめて嫌いなものは知っておきたい。
あやか「あれ?倫太郎お味噌汁はいらんの?」
あやかさんがさりげなく声を掛けてくれた。
倫太郎君の白米を食べてた手が止まる。
一瞬だけ目が泳いだ後、
倫太郎「大葉が苦手で。。」
なるほど。
あやか「そうなん?美味しいのに〜!言うても私も大葉の美味しさに気づいたんはここ最近やけどね。なんか少し大人になった気したわ。」
倫太郎「・・・そうっすか。」
あやか「え?じゃあ茗荷もあかんやろ?」
倫太郎「・・・はい。」
あやか「ハハッやっぱり〜!わかるわぁ!茗荷は私も嫌いやねん。」
倫太郎「・・そうっすか。」
そんな2人の会話を横に、大葉と茗荷が苦手なんだな、と頭の中で反芻する。