第3章 下宿生活。
「おはよう、ともみちゃん。」
「・・おはようございます。」
私はチラッと声のする方に視線だけ向け、出来上がったばかりの朝食をトレーに乗せテーブルへ運ぶ。
「あ!目玉焼き半熟にしてくれたん?ありがと〜♡」
「いえ。」
今日の朝食は目玉焼きにソーセージ、ほうれん草の胡麻和えに浅漬け。今日の味噌汁は茄子と大葉にした。
ご飯とお味噌汁は食べる際に各自でよそってもらう事になっている。
毎朝1番にリビングへ来るのは
松本あやか
2年 吹奏楽部
肩につく髪はフワフワと緩くパーマがかかり、背が小さく華奢で女の子らしい。
けど、ふわっとした見た目とは裏腹に実際はサバサバとした性格のあやかさんは下宿生の中では頼りになるお姉さん的存在だ。
テーブルにおかずを並べ終わったところでまた1人リビングへやってきた。
「おはようございます」
あやか「倫太郎、おはよ〜。」
「・・おはようございます。」
角名倫太郎
1年 バレーボール部
この春、バレーボールの強豪校である稲荷崎高校へ入学するため、親元を離れてここへ来たらしい。
切長の目と180はゆうに超える高身長で、少し近寄り難い。
冷静で無口なタイプだ。
「いただきます。」
私もあやかさんは隣に座り朝食を食べ始める。
あやか「お味噌汁うんま〜♡」
私の向かいに山盛りのご飯を持った倫太郎君が座る。
彼は手を合わせ小さくいただきます、と言うと黙々と食べ進めた。