第15章 《沖田総悟 ~11月11日~》
「あ、終わっちまった。ほらよ」
「な……!」
沖田は空になった袋を返す。
「金返せェェ!!」
「ケチケチすんじゃねーよ。たかが、百円二百円だろ」
「百円二百円でも、泥棒は泥棒! アンタ、警察だろうがァァァ!!」
「うるせーなァ。返しゃいーんだろ」
沖田は○○の後頭部に手を当て、引き寄せた。
避ける間もなく唇を塞がれる。
「何す……!」
「きっちり返したぜ。チョコの味くらいすんだろ」
沖田はニヤニヤと、薄気味の悪い笑みを浮かべている。
「チョコの味なんてしない!」
拳を繰り出すも、これもひょいひょいっとかわされる。
「じゃあ今度はやっぱこれだね~の方にしろィ。向こうの方がチョコの味が残るだろ」
「今度ってなんだァァ!! 今度なんてない!!」
「今度がねーなら、今だ」
殴りかかっていた腕をがっしりと掴まれ、再び沖田の顔が目の前に迫る。
「余計にあるかァァ!!」
ジタバタと抗っても、沖田から逃れる術など○○にはない。
(了)