第15章 《沖田総悟 ~11月11日~》
《沖田総悟 ~11月11日~》
「長閑だねェ」
公園のベンチに座り、沖田は空を見上げる。
十一月半ばの空は穏やかで、隊服だけでも寒さは感じない。
その格好でこうして休んでいるということは、すなわち、パトロールをサボっている最中。
「これだけ長閑だと、そう犯罪も起こりゃしねーな」
ポキッと、沖田は手に持った棒状のお菓子をかじる。
「いや、目の前に犯罪者いるんだけど」
「どこでィ」
「お前だァァァ!!」
沖田に向けて、○○の細長い人差し指が向けられる。
「それ、私が買ったもの!」
手に持つ赤い箱に向けて伸ばされる手を、沖田はひょいっと軽くかわす。
何度チャレンジしても、沖田の素早さには到底敵わない。
「いーじゃねーか、少しくらい。独り占めしてると友達失くすぜィ」
「それはお前だろーがァァ!!」
ポカポカ陽気の昼下がり。
コンビニで買ったお菓子をさあ食べようと袋を開けた所で、突然、手元から掻っさらわれた。
「大体、今日だけ買おうなんざ、どれだけグ●コに踊らされてるんでィ」
沖田はネズミのようにポキキキキとかじる。
「別に今日だけ買ってるわけじゃないよ。チョコ好きだし。でも、今日チョコ買うなら、やっぱこれだね」
「それワザと言ってんのか?」
ライバル商品のキャッチフレーズを沖田はいぶかしむ。