第14章 《神威 ~ハロウィン~》
「トッピングは何がいいかな。やっぱりチョコレート?」
「変態」
「そんな俺に惚れたくせに」
「惚れた覚えはないけど」
「へえ。ま、いいや。夜にまた来るよ。ハロウィンは夜に行うものらしいからね」
神威は立ち上がると、扉の前まで歩いた。
「それまでにチョコレート用意しといてよ。○○の体中に塗れるくらいの量のね」
「チョコが食べたいなら、勝手に食べれば。なんにも塗らずにそのままね」
「はいはい」
ようやく去ってくれると思ったら、
「やっぱり、夜まで待てないや」
踵を返して戻って来た。
背後から抱きすくめられ、首筋に顔を埋められた。
「トッピングは!?」
「いらない」
ハロウィンのお菓子をもらいに来たくせに、これでは押し込み強盗と大差ない。
蹴飛ばしてやろうかと思ったけれど、耳元で囁かれた言葉で動きを封じられてしまった。
「だって、素のままの○○で充分だから」
恥ずかしげもなく、よくもまあ、そんな言葉が口に出来るものだ。
でも、そんな言葉の一つで、二月にはお菓子でも作ってやろうかと思ってしまった私は、確かにツンデレなのかもしれない。
(了)