第9章 《桂小太郎 ~お題『雪』~》
《桂小太郎 ~お題『雪』~》
真っ白く覆われたかぶき町に、雪は降り続く。
身を縮めながら、○○は帰路を急ぐ。一刻も早く、ぬくぬくのコタツに入りたい。
だが、足を止めざるを得ない事態と遭遇してしまった。
「……何、これ」
積もった雪の中から、飛び出しているものがある。
それはどう見ても……
「人の足……」
足の裏っぽいもの、いや、どう見ても足の裏が二つ、雪の中から突き出している。
人形か――死体か――生きている者か――
足首まで雪を掻き分け、それを掴んで思い切り引っ張った。
「ぷはぁ!!」
――と盛大な呼吸をしながら、雪の中から長髪の男が現れた。
「た、助かった……。そうか、お主が助けてくれたのか」
立ち上がり、体に纏わりついた雪を払う。
桂小太郎と名乗った男は、自らに起こったことを説明した。
「やむにやまれぬ事情があってな。屋根の上で身を潜めていたのだが、いつの間にか寝てしまったらしい。しかし、寒かった」
寝たまま雪に埋もれ、雪崩となって桂は地面へ落下。そのまま身動きが取れずに雪に埋もれていた。