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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



少し離れたところでは海水を容赦無く秀吉へと浴びせる面々の声や、飛沫の立つ涼やかな音が響いている。楽しげな声にいざなわれ、凪が告げると光秀もまた片眉を軽く持ち上げて口角を吊り上げた。いつもはあまり悪ふざけをする事のない彼女が、屈託ない笑顔を浮かべる。陽だまりよりも眩しく暖かなそれを前に、光秀はそっと眸を和らげた。

「ならば、二人で奇襲と行こうか」
「はい…!」

さり気ない所作で手を繋ぎ、騒ぎの渦中へと近付いて行く。弾ける水と太陽に照らされた海面が反射して輝きを帯びる中、敵味方関係無く明るい声を上げて騒ぎ合う場所へ、二人もまた加わったのだった。


───────────────…


海で散々遊んだ後、そろそろ昼時が近付くという事で、昼休憩を取ろうと決めた面々は、それぞれ役割分担を決めて支度に取り掛かる事となった。結局あの後、秀吉が水攻めに遭った後も次々に犠牲者が続出し、被害に遭わなかったのは光秀と凪(危ない時は光秀が助けた)、彼方の三人のみである。秀吉は延々と光秀を水攻めしようとボールを叩きつけていたものの、いずれも綺麗に打ち返されてしまい、結局武将達の中では光秀だけが水攻めに遭う事はなかったのだった。

昼食はせっかくなので店から何か買って来て、シートで食べる事になり、飲み物を買う担当や、食事を買う担当に分かれて店へと向かった。海の家はテイクアウトと店内飲食、どちらも可能な形となっていて、それ以外にも幾つかテイクアウト用の店が建ち並んでいる。飲み物などの買い出しは佐助引率の元、料理は凪と彼方が主導で買う事となり、光秀と三成が荷物持ちとしてそれに付き添う事になった。

海の家のテイクアウト用整理列に並んでいた凪達は、途中途中にあるお品書きを見て首を捻る。デザート系に軽食、割とがっつり目の食事まで網羅している為、絞込みは中々に悩ましい。店頭付近で炭火焼きしている磯焼きの香りが漂う中、凪がふと光秀を振り仰ぐ。浜へ上がって身体がある程度乾いた後、再び白いパーカーを羽織った彼は、彼女の眼差しを受けて目を合わせた。

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