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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



世話焼きの気質を如何無く発揮している秀吉へ凪が頷いて見せると、光秀が繋いでいた凪の手を一度解き、そのまま腰へ回して引き寄せた。

「生憎だが手は足りていてな。お前に世話を焼かれるまでも無い」
「わ……っ」
「それから、この男に苛められたらすぐに言えよ、凪。俺がとっちめて海に沈める」
「怖や怖や、妹相手に過保護過ぎる兄とは困りものだな」
「それに関しては、お前にだけは言われたくねえ」

凪の身を抱き寄せる形で光秀が告げれば、秀吉もまた面持ちを顰めて厳しい表情のまま言い返す。薄っすらと余裕の笑みを浮かべ、肩を緩く竦めた光秀の発言はそれこそお互い様というものであり、苛立ちを滲ませて秀吉が突っ込んだ。

「ところでさ、家康くんと兼続さんと幸村は何処行ったの?」

このままだと延々と終わらないだろう言い合いをまるっと無視し、彼方が佐助へ問いかける。三成も途中で抜けて女性陣の元へ来た為、どのような状況になっているのか分からない。佐助が短い相槌の後、顔ごと視線を遠くへ向ければ、彼方が海水浴用にと貸してくれた、大きなパラソルを開いて立てている面々の姿を視界に映した。

「家康さんと兼続さん、幸村には場所取りを頼んでおいた。海の家から遠過ぎると買い出しも不便だから、今のうちに良い場所を取っておいた方がいいと思って」
「さっすが、分かってるー」
「それほどでも」
「場所取りですか。まるで花見や紅葉狩りのようですね」
「良い場所っていうのは、いつの世も熾烈な奪い合いだからねー」

三人で場所取り、と佐助達の会話を小耳に挟んで凪がその姿を想像する。微妙に協調性の無い組み合わせだが、兼続辺りがどうにかしてくれるだろう。そうして光秀の秀吉いじりがきり良く終わったタイミングで、面々は家康達が場所取りをしてくれているところへ移動する事となったのだった。

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