第9章 幻光河
「アーロンさん、リュックを私のガードにしたいんですけど……」
ユウナのお願いを聞いたアーロンはリュックに向き直る。
リュックは自分がアルベドだということを隠そうと俯いているが、勿論彼はリュックの不自然なその行動の理由を探っているみたいだ。
「顔をあげろ」
「え?」
「顔を見せろ」
「あ、いいよ」
「目を開けろ」
リュックが恐る恐る目を開けると、そこにはアルベド特有の渦巻きの瞳があらわになる。
「やはりな」
「ダ……ダメ?」
「覚悟はいいのか」
このスピラではアルベド族の存在は煙たがられている。
もしユウナのガードをやるのであれば必ず寺院に立ち寄ることになる。
それに耐えることができるのと、アーロンは問いただしているのだ。
しかしリュックはこちらの余計な考えはお構い無しに明るい返事をする。
「ったりまえです!というわけで、いいんだよね?」
「ユウナが望むなら」
「私は是非」
アーロンの許可も下り無事にガードになることに。
だが後ろでワッカの「う~ん……」といううなり声が聞こえる。
「リュックはいい子だよ。俺も世話になったし」
「そうだな、ニギヤカになっていいかもな!」
「そうそう!じゃあたしはニギヤカ担当ってことで!」
ティーダが、ワッカを納得させるように言うとワッカはあっさりと受け入れる。
アルベド族が嫌いだとは言うけれどアルベド族の見分けはつかないみたいだ。
あの子が単純な子でよかったわとほっとして、改めてリュックの方を向き挨拶をする。
「よろしくね、リュック」
「よろしくお願いしま~す!」
こうしてニギヤカな少女、リュックが仲間になった。