第2章 ビサイド島
多くの見送りの元、私たちは無事ビサイドを発った。
そして、今私達は船に揺られている。
船の上ではユウナがたくさんの人から話しかけられていた。
それに加えユウナは大召喚士ブラスカ様の娘。
皆が放っておくはずはなく、口々にユウナのことで盛り上がっている。
ユウナも大変ね。と呑気に考えながら海を眺めているときだった。
「うわっ!!」
いきなり船体全体が強く軋む。
また海はうねり、船は大きく揺れていた。
高波で大量の水しぶきが襲い、乗っている人はみなバランスを崩した。
私はユウナの安否を確認するために先ほどまでいた船頭のほうに視線を移すと、
「ユウナっ!!」
そこには同じくバランスを崩し、その場に倒れ込んでいるユウナ。
すぐにでも助けたいけれど、船の揺れは激しくなるばかりで少しでも動いたら自分が海に投げ込まれそうだ。
「くっっ…!」
今はティーダがなんとかユウナをつかんでいるが、それも限界があるだろう。
すると海水でティーダの手が濡れ、ユウナをつかんでいた手が離れてしまった。
「きゃぁぁぁっ!」
ユウナが大きな声で叫ぶ。
「キマリ!!」
私が叫ぶ前にすでにキマリは動き始めていて、揺れる船上を移動しなんとかユウナを海に投げ出さずにすんだ。
「さすがね、キマリ」
ほっとしたのも束の間、海の中から大きなヒレのようなモノが見えた。
それはこれからユウナが、私たちが倒そうとしているモノで誰かがその名を大きく叫ぶ。
「シーーーーーーーン!」