第9章 幻光河
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しばらく進むと、ティーダが見たことのない少女と話しているようだった。
「知り合いか?」
ワッカの質問にティーダは答え辛そうに歯切れの悪い返事をする。
「えっと、まぁ……そんな感じ」
「ど~も!リュックで~す!」
そんなティーダの態度とは一転、少女は元気よく返事をした。
…この子なんか見覚えがあるような気がするのだが、いまいちちゃんと思い出せなかった。
「ほら、ユウナとルールーには前に話したよな。ビサイドに着く前に俺が世話になった……あ~……」
「あ……」
「ああ……」
ユウナとルールーを見ながら話していたティーダだが、最後のほうはワッカをちらりと見て言いよどむ。
それに彼女らがリュックの正体に気がつき、納得の声を出した。
この3人の様子、そしてリュックと呼ばれる彼女の目を見てみるとおそらくアルベド族なのだろう。
アルベド嫌いであるワッカの前でなんと紹介したらいいのか悩んでいるみたいだ。
そんなことは全く知らずワッカはリュックに近付いていく。
「そりゃお前、恩人だろ。会えて良かったよなぁ。全くエボンの賜物だ。で、リュック?倒れてたみたいだけど、ケガないか?」
「ワッカちょっと待って」
このまま近付いてしまったらワッカはリュックがアルベド族だと気付いてしまうのではないかと、ルールーがワッカを呼び止めた。
もちろん、なぜ呼び止められたのかをワッカは知らないのでその訳を知ろうとする。
「ん?なんだよ」
「ちょっと……話したいんだけど」
「おお、話せよ」
ユウナの提案にこの場でどうぞとワッカは言う。
2人ともなんて言えばいいのか分からず黙り込んでしまった。
…しょうがない、助け舟を出してあげるとしよう。