第9章 幻光河
「じゃあさこれをみんなが持っていれば、さっきみたいにユウナのところに行けるって事っすか?」
「理想はそうなのだけど…今のところは私かルール―しか使えない。これ使うためには魔力を使うの。今は近いからそれほど消費しないけど、スフィア同士が離れるほど多くの魔力が必要だから…まだ男性陣には渡せないわね」
そう答えるとティーダはすこしがっかりした様子。
そんな彼に高々と宣言をする。
「いつかみんなが使えるようにするから待ってなさい!」
そのためにもスフィアの研究と試作を続ければ…と気持ちを改めてていると、その瞬間シパーフが何かにぶつかったのか、全体が大きく揺れる。
「なんかへんだ~ぞ?」
シパーフ使いが違和感に気付いて声を上げると、もう一度シパーフに衝撃が走る。
それに対して全員が立ち上がって辺りを見回していたが、アーロンがユウナを強引に座らせる。
「座っていろ!」
「は、はい!」
その指示に従ってユウナが座ろうとしたときだった。
自分の腕が誰かに捕まれた感触の後、私の体は水の中へと引きずり込まれてしまう。
「サーシャ!!」
水中に入る前に聞こえた彼の声は
いつもにもまして焦っているように聞こえた。