第9章 幻光河
「うわぁ……」
ティーダが目の前の光景に感嘆の声を上げる。
辺り一面に咲く花と川の周りを飛び交う幻光虫。その美しさにたどり着いた私達はみな目を奪われていた。
「これが幻光河よ」
ルールーの説明にも感嘆の声しかあがらない。
ユウナはその場にしゃがみ河のほとりに咲いている花を眺める。
「幻光花っていうの。夜になるとたくさんの幻光虫が集まるんだって」
「河全体が光ってまるで星の海」
ティーダもユウナの隣にしゃがみこんだ。
すると突然何かを思いついたようにこちらを振り返って宣言しようとする。
「あ!そうだ!」
「夜までなど待たんぞ」
「ぁっ、あぁ……じゃ、『シン』を倒したらゆっくり見に来よう!」
アーロンの言葉に目に見えて落胆したティーダが名案を思いついたといった風に宣言するが、その言葉に皆の表情が固まった。
この中でそれがいかに残酷な言葉であるかを知らないのはティーダだけだ。
でも私はそんな彼の優しい明るさを消したくなくて言葉を続ける。
「…いいわねそれも」
「だろ!?」
ティーダは笑顔を見せているが、ほかのみんなはさらに顔を曇らせるばかりだ。
「そのためにもユウナのガード、頑張らないとね?」
「うっす!」