第5章 ミヘン街道
「いやーーー!」
言葉を続けようとするティーダの声を遮るように女性が叫び声を上げながら中に入ってくる。
「だ、だれか助けて!チョ、チョコボが!」
驚きすぎてか、上手く口が回っていないようだった。
とりあえず目の前の女性を落ち着かせようと背中を撫でていると、突然アーロンが入ってくる。
「おい、出番だ。魔物を倒すんだろう」
「お、おう!!」
「行きましょう!」
女性をリンさんに預けて外に出ると、チョコボ乗り場には逃げ惑っているチョコボの群れ。
そして長い腕でチョコボを鷲掴みしている魔物が暴れていた。
「思っていたよりもでかいわね~」
「とりあえずやるしかないっすよ!」
勢いだけはいいな少年よ。
なんて思いながらとりあえず一発かましますか!
「ファイガ!」
魔法が見事に的中するとその一発で魔物の怒りを買ったのか、こちらに長い腕を伸ばしながら突進してきた。
「気を付けろ!後ろは崖だぞ!」
アーロンの注意で後ろを振り向くと、落ちるまであと一歩という所だった。
前を向けば、チョコボイーターが余裕の笑みを浮かべているよう見える。
「どうしよう…」
不安そうに私を見てくるユウナ。
無理もない。召喚士は近距離戦には向いていないのだから。ユウナにとっては一番苦手な状況だ。
「じゃ逆側に追い詰めて落としちゃいましょ♪」
そう呟き、同時に腰に下ろしているレイピアを握る。
そしてチョコボイーターの足をすくい強制的に転ばせた。
「さあみんな、今のうちに総攻撃よ!」
私の指示を聞きティーダを筆頭にして、チョコボイーターに攻撃するとそのまま反対側の崖に落ちて行った。
そして大量の幻光虫となって消えていく。
無事に魔物退治を終え、アーロンが私に近づき一言呟く。
「…確かに絶好調だな」
「これぐらいいつでもできるわよ!」
それに「ふん」と鼻で笑い、ティーダ達の方へ行ってしまった。
…人の剣捌きをみて確認するのはやめてほしいのだけれど。
逆に見て分かるアーロンがすごいのもあるのだが。