第3章 キーリカ寺院
祈り子様のところにつくと、ユウナは祈り子様の部屋に向かった。
その間ガードである私たちは待つしかない。
…正直暇ではある。
しばらくするとティーダがやってきた。
彼はまだ正式にガードではないので上に置いてきたのだが、さっきのドナという召喚士に無理やり乗せられとうとうここまで来てしまったらしい。
「理由はどうであれ罰を受けるのはユウナよ」
「罰って……どんな?」
「最悪、寺院立ち入り禁止も考えうる」
「マジっすか……」
ことの重大さに気付いた彼は頭を垂れた。
「まあまあ…来てしまったものは仕方ないし
ここで一緒に待ちましょ?」
「サーシャさん~そんなにゆるくていいんすか?」
ワッカとルール―が私に抗議してくる。
2人ともエボンを小さいころから信じているから、それを破るような行為をしたくないのだろう。
私自身も10年以上前はそうだったが、ある事件からエボンの考えに疑問を持ちベベルから追い出されてからはまったくもってエボンの教えなど信じていなかった。
しかしガードとして立ち回る以上はエボンの教えを守らなければならないので表面上は信仰しているように見せている。
「考え方は人それぞれじゃない?罰を受けるってなったら、その時に考えましょ」
「サーシャさんがそういうなら…」
2人とも渋々ティーダを受け入れてくれたみたいだ。
エボンの教えやこのスピラでの常識をまったく知らない彼が
果たしてこの旅を通じて何を思うか___
私はその答えを見てみたいと思っている自分に気づき始めていた。
「いって!!!」
そんなことを1人で考え込んでいると、祈り子様の部屋の入口付近に立っているキマリに軽くどつかれたらしい。
そんな彼に軽く諫める言葉をかける。
「キマリ、無意味な暴力はダメよ?」
まったく…キマリはまだティーダを許していないみたいだ。
これから先が思いやられるな、なんて思いながら
私はユウナの帰りを大人しく待つことにした。