第3章 キーリカ寺院
「船の上でも思ったすけど、サーシャってこの中で一番強いんすか?」
「そうだよ。サーシャさんすっごく強いんだよ!」
ユウナが興奮気味でティーダの質問に答えた。
そこまで持ち上げられると少し照れてしまうのでやめて欲しいが、褒められて嫌なことはないのでにやけを抑えつつ返事をする。
「そんなことないわ。ただ魔法も剣術もできるぐらいよ」
「い!?…めちゃ強じゃないすっか…」
ちなみにルール―やユウナに魔法を教えたのは私だ。
でも2人とも素質があったみたいで、すぐに基礎的な部分は覚えて今ではきちんと使いこなせるようになっている。
キマリにはもちろん、ワッカにも武器の使い方を教えた。
まあ2人とも剣よりもそれぞれに合った武器があったので、本当に基礎的な部分しか教えていないのだが…
「でもティーダのいた場所では戦う必要がなかったんでしょ?それなのにそこまで動けるのはやっぱり才能があるんじゃない?」
「…そうっすかね?」
「意外と、ガードに向いてるかもね~」
チラッとユウナのほうを一瞥してウインクをすると、ユウナが顔を真っ赤にし口をパクパクさせ、何か言いたそうにこちらを見ている。
その初心な反応についつい意地悪したくなってしまうサーシャ。
「サーシャさんがそういうなら…なってみっか?」
それには気づかないワッカが冗談交じりにティーダをガードに勧誘しだした。
「…どーせ俺は初心者ですよーだ」
どうやらティーダはさっきワッカに言われたことを気にしているらしく、拗ねた様子で彼からの言葉をスルーした。
その様子にみんなで笑いながら、キーリカの寺院まで歩みを進めたのだった。