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孤独な夜の瞼の裏には...【鬼滅の刃】

第2章 滑落



笛を一筋に、あれから8年の歳月が過ぎた。

9つの時、わたしの額と首から顎にかけて変な模様が生また。

呼吸もおかしくなり、走れば大人より早く走れるし、疲れも感じない。オマケに体温が高熱といわれるほどに高いのだ。

特に変わった生活はしていない。

ただ、ひたすらにこんな化け物のような子供でも両親は一人の人間と受け止めて愛してくれて、異常が出しだい医者にもかかった。

医者は揃って匙を投げるだけ。どこにかかっても元気なら問題ないの一点張り。

わたしだけが自分の変化を受け入れられず、一層自分が気味悪くてしょうがない。

一方周りは、笛の才能の方で神童だと言われ、形が整ってきた顔の模様を神聖なものとして崇めるようになり、見せ物のようになっていった。

父が才能を認めてくれた笛は人に聞かせられるものが増えた。今では、父の笛の教室を代理で任されることも増え、父の人柄もあって、門徒生から大層可愛がられた。

両親は相も変わらず、わたしの全てを褒めてくれるし、下の弟とも平等に接してくれて、わたしがわたしであることを許してくれる。

こんなにみんなが良くしてくださるのに

空っぽの心は、どうしていつも軋むんだろう。


「千鶴。」


不意に呼ばれて驚いて振り向くと母がいた。


「はい、母上.....」


「どうしたのですか?ぼーっとしちゃって....。お寺に行って和尚さんの所に、御布施持って行ってくれるかしら。

伊勢谷さんが、今から来られるって知らせが入ってね。」


伊勢谷さんは、父のお師匠様で、それなりにこの界隈では高い地位になるお方だ。

父の座の跡継ぎである弟も一緒に顔を出さねばならない。
使用人はそれぞれ家の都合で休みをとっていた。


「わかりました。行ってまいります!」

「千鶴、いつも助かるわ。日暮れには戻っておいで。最近なんらかと物騒だからね。」

「はい。では、行ってまいります。」


母から包みを受け取り、わたしは屋敷を出た。

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