第2章 流れる日々
営業と言ってもアポなし訪問ではなく
企画部が出した案件を取引先へ持って行くのが仕事内容だ。
そして、初営業の日。
「みうちゃ~ん!
緊張しちゃうよね。
うんうん、分かる。
大丈夫、俺がいるから!」
「余計に心配なんですけど・・・」
取引先に着き、
担当の方に一通り挨拶を済ませ
いよいよ本題へ。
私は聞いてるだけだっだけど。
企画の話をする時の田中さんは
いつもみたいにちゃらちゃらしてなくて
真剣に話を進め、熱意もある。
意外だな・・・
なんて考えてたら、話は終わった。
[田中さんは、本当いい企画を持ってくるよね。]
「うちの企画部、優秀なんで(笑)」
[田中さんの話にいつも引き込まれるよ。
井原さんだっけ?
見習ったらいいと思うよ~]
「はい!」
どうやら田中さんは
仕事が出来る人のようだ。
[近日中に返事はしますんで。]
「よろしく頼みます!!!」
「あ~、疲れた!
みうちゃん、飲みに行こうよ~」
「まだ行ってるんですか?」
やっぱりチャラ男だ。
「今日は、みうちゃんの初営業だったんだから
お祝いしようぜ!」
たまにはいいか・・・
「いいですよ、行きましょう」
お酒を飲みながら
仕事の話をする田中さんは
どこか楽しそうに見えた。
「田中さんは、
仕事楽しいですか?」
「そら楽しいよ!
どんな風に話せば、相手を落とせるかって考えるのが楽しい。
みうちゃんは、楽しくないの?」
「まだ、楽しいとか楽しくないとか
そういう次元ではなくて。
でも、いい人ばかりなので恵まれてます。」
「俺がみうちゃんを
楽しい世界へ導いてあげる!」
「え、はい。」
なんか、ドキッとした。