第2章 彼女と彼
マイキーは
自分の気に入った人間から好かれるのが上手かった
とはいえ
特別なことは何もしないのだから
生まれつきの素質があるとしか思えない
彼には天性の魅力があり
誰もがそれに惹きつけられてしまう
マイキーはその中から気に入った奴に笑顔を向ければ
ただそれだけで良いのだった
オレを含む東卍のメンバーはみんな
マイキーのカリスマに惹かれていた
" オマエはオレのモンだ "
そんな言葉を
冗談でも何でもなく言ってくる
言われた方も
それを喜んで受け入れてしまう
(…彼女も すぐにそうなるだろう…)
マイキーを見るリンの視線が微かに熱を帯びているように感じて
2人の未来が容易に想像できたオレは
生まれたばかりの自分の想いに早速フタをした
波風を立てるのは性に合わないし
我を抑えるのには昔から慣れていた
オレはリンへの気持ちを隠したまま
マイキーと彼女の仲を見守る道を迷わず選んだ
2人が惹かれ合っているのなら
間に割って入るなど無意味だ
独りよがりな想いを満たして困らせるよりも
彼女が笑顔で居られることの方がよほど大切だと思えたから
オレは進んで身を引いたのだった
けれどマイキーとリンの仲は
すんなりと上手くはいかなかった