第2章 彼女と彼
" 暁 リン "
彼女に始めて会ったのは
中3の春のことだった
ツーリングの待ち合わせで
仲間のドラケン、場地、千冬と一緒に武蔵神社の駐車場にたむろしていた時
ドラケンが誘ったエマのツレとして一緒に現れたひとつ年下の彼女に
オレは一目惚れした
外見も
声も
笑った顔も
全てがオレの好みピッタリで
出会ったばかりにもかかわらず
オレはリンに対して
運命めいた予感を感じたのだった
けれどその予感は
待ち合わせに遅れてやってきたある人物によって
すぐに軌道修正されることになる
" 佐野万次郎 "
通称 " 無敵のマイキー "
彼はオレ達のチーム" 東京卍會 "の初代総長であり
エマの兄でもあった
興味の無い相手には視線を向けることすらしないこの男が
自らリンに声をかけ
冗談を言ってからかい
単車の後ろにまで乗せているのを見て
その場に居たオレ達は
マイキーがリンにかなりの好意を持っていることを察した