第7章 歪んだ愛情
この10ヶ月の間に何があったのか
全てを聞いたリンは怒るどころか
すぐにマイキーが自分を守るためにしたことだと理解した
そして彼女は
姿を消したマイキーを探したいと言った
「何か分かったら必ず連絡する」
「それ以外でも定期的に連絡を取り合う」
お互いにそう約束して
その日は別れた
それから数年の間
マイキーの確かな消息は掴めなかった
バイクショップを経営していたドラケンは
知り合いを通じて様々な情報を仕入れてはオレに伝えてくれた
デザイン関係の道へ進み、約束した通りリンのドレスを作るようになっていたオレは
自分のアトリエで彼女と会っていた
リンはアランに頼んで調べてもらった情報と、ドラケンからの話を照らし合わせながら
マイキーを探すための信用できる手掛かりを絞り込んでいく
けれど
中々確実なものにはたどり着けなかった
『…前回、話していた場所はハズレでした……今度は…コッチの線を追ってみようと思います…』
「…分かった…何かオレに出来ることはあるか?」
『…三ツ谷君は、ドラケン君からの情報を伝えてくれるだけで十分です……ドラケン君にも…深い所まで調べるのはコチラでやるとお伝えください…』
「…オマエこそ…かなり無茶してるんじゃないのか?」
『私は大丈夫です。…カタギの世界の常識とは違う所に居ますから』
「……」
『…心配しないでください。…こんな立場でも、少しは役に立てることもあるんですよ』
リンはそう言って
オレを安心させるように微笑んだ
『……そうだ。…電話でも言いましたが…またドレスをお願いしたいと思って…』
「…あぁ…」
『…ホテルを貸し切っての夜の立食で…政治家が来る予定なので…軽いボディーチェックはあるかも知れません…』
「…分かった……今回は何を持っていくんだ?」
『…………コレをお願いします…』
リンはそう言うと
目の前のテーブルに小さな拳銃を置いた