第2章 旅は道連れ
『.....ん』
「起きたか?」
ぼんやりした葉月の視界に此方を見下ろしている男を見えた
パシパシと瞬きをして視界をクリアし周りを確認すると何処かの部屋に寝かされていたらしい
チラリと見上げると見知らぬ男が葉月の目の前に座って此方を見下ろしていた
『...どちら様でしょうか?』
「命の恩人ってところだな」
『あら、それはありがとうございます』
ニヤリと笑う男に葉月も寝たままでにこりと微笑みを返した
「お前、拐われたんだろ覚えるか?」
『...油断してしまいました』
はぁとため息を吐きゆっくりと身体を起こすとふらつく身体を男が支えてくれた
「おっと大丈夫か?」
『ええ、ありがとうございます
ところで此処は何処でしょうか?』
「越前の宿屋だ」
『......えちぜん?』
「ああ、越前だ」
『最悪....』
「は??」
ボソリと呟いた声に男が反応したがにっこりと笑って誤魔化した
『政宗様は安土に行かれるのですか?』
自己紹介をして此れから何処に行くのかを尋ねた
「自領から帰り道でたまたま人攫いを見つけた
そんで、助けた女がいい女だったから安土に連れて帰ってるって訳だ」
『.....誘拐』
「人聞きが悪いこと言うなよ
気を失った体調が悪い女を一人でほっとける訳ねぇだろ?
だから連れて帰ってるって訳」
馬で跳ばせば寝ている間に着くと押し切られ仕方なく政宗について安土に向かうことになった