第3章 記憶障害
『お帰りなさいっ!』
「ただいま。良い子にしてたか?」
『ちゃんと大人しく寝てました』
プクッと頬を膨らまし抗議をする葉月の頭を政宗は優しく撫でた
「葉月、これは秀吉からだ」
『わぁ』
政宗の作ってくれた食事を食べた後に
手渡された包みを開くと中から金平糖が出てきた
ひとつ摘み口にふくむと甘味がじんわりと口の中に広がった
『秀吉さんにありがとうって御礼を言わないとね』
「ああ。その為にはまずはしっかり食ってよく寝ろ」
は~いと素直を布団に入り瞳を閉じた
「.....」
暫く政宗は葉月を見つめていた
熱のためにまだ赤みがある頬にかかる髪をはらい
穏やかな寝息に安堵して静かに部屋を出ていった
「なんか最初と感じが違うんだよな~」
「葉月のことか?」
秀吉の御殿にやって来た政宗は自分が持ってきた甘味を食べながら首を傾げていた
「最初にあった時は、物静かで大人しいって感じだったんだが.....」
「そうだな、一言二言しか話してないが
一歩後ろで微笑んでそうな感じだったな」
書簡を書き終わった秀吉は政宗の前に座り甘味を口に放り込んで思案し
「明日会いに行っても良いか?」