第9章 最終決戦
「何をする気だね・・・。早く逃げろ・・」
コクピットを貫かれ、息も絶え絶えなクルーゼがシシアに通信をつないだ。
キラと戦っていた時に使っていた回線をそのまま使用したため、その声はエターナルにもアークエンジェルにも届いていた。
もちろんフリーダムもだ。
ユニコーンから漏れる粒子の光が赤から緑へとかわる。
ユニコーンがシールドを構えると、その粒子が大きな盾のように広がる。
「エターナル!!アークエンジェル!!動かず私の後ろにいなさい!!!」
「シシア!!!」
ラクスの悲痛な声が聞こえる。
ゆっくりとクルーゼが近づいていたからだ。
後ろから撃ち落とすと誰もが思った。
だが、ユニコーンのシールドにそっと機体の腕を添えた。
より一層光が強くなる。
「これが君の想いの光か・・・。」
ユニコーンの粒子が結晶化しだす。
その結晶がさらに盾を広げるように増大する。
人がなせる技ではない。
誰が見てもパイロットに何かしら負担が起こっているとわかる。
「シシア!!応答してください!!シシア!!!」
ユニコーンのコクピットにはラクスの声が響いていた。
シシアの目はユニコーンに放つ光に反射してキラキラと光っていた。
「やれやれ・・・、手のかかる部下だ・・・。」
クルーゼがユニコーンの手からシールドを奪うとユニコーンを後ろに突き飛ばした。
「私は・・君たちの未来に期待するとしよう。」
クルーゼの声が響くと同時に大きな爆発が起きた。
ギリギリのところでジェネシスを防ぎきった。
機体はユニコーンモードへと戻り、宙を漂った。
「シシア!!誰か・・・・!お願いします!シシアを・・・!」
ラクスの声が涙を帯びる。
「もう・・失いたくないのです・・」
彼女の声は静まりきったエターナルの中で響いた。