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世界は変わらないと知っていても

第1章 分かれ道


プラントの歌姫、ラクス・クラインには双子の妹がいた。

シシア・クライン。
黒に限りなく近い紺色の髪。
見る人を不安にさせる琥珀色の瞳。

面白みがない。
姉はあんなに明るいのに、どうしてこんなに暗い子が生まれたのだろうか。

ずっとそう比べられて生きてきた。


「はじめまちて。ラクシュ・クラインでしゅわ!!」

ピンク色の可愛らしい子供が大人のように挨拶をする。
そのたどたどしい姿が可愛らしく、ガーデンパーティーにきていた誰もが頬を緩ませた。

「まぁ、可愛らしい!」
「もう挨拶ができるのね!」

皆口々に姉を褒める。
私は人見知りで、母の足元に隠れていた。

「まぁ、あの子が?」
「でも双子なんでしょう?」
「随分と地味な見た目ね」

4歳の頃からすでに陰口を叩かれていた。
両親はラクスと同じ愛情を注いでくれてた。
しかし、それだけでは不十分だった。
家族以外の誰かに認められたことがないのだ。

暗い性格になっていくのはどうしようもないことだった。
クラスメイトはぜった私を誘ってくれない。
ラクスが無理やり連れいていくのだが、いい顔をされたことがない。
歌を習いたいと言ったのは私が先だった。
たまたまラクスが一緒にレッスンを受けた時、先生がラクスの可愛さにメロメロになっていた。
もちろん私はほっとかれたままだ。

「お母様!私もお歌歌いたいですわ!!」

その言葉を聞いてどれほど絶望したか。

それ以来、何を頑張っても無駄だと、諦めるようになってしまった。

どう頑張っても姉には勝てないのだ。
そしてできるだけ引きこもるようになってしまった。

「シシア?今度のパーティーお手伝いしてくれる?」

引きこもるようになってからしばらくして、7歳の頃母にお願いされた。
母は遺伝子に何かしら欠陥があり、長生きできないそうだ。
だから少しでも母といられるように、せめていい子だと思われるように行動していた。

「わかりました、お母様。」
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